税務訴訟

 適切に税金を払っているつもりでも、納税者と税務署で考えが異なる場合があります。
 そして、税務署は納税者の考えがおかしいということであれば、税務署は納税者に修正を依頼し場合によっては修正を義務付けます。
 税務署の修正に納得いかない場合、納税者は手順を踏んで争うことになります。
流れとしては
1.税務調査などにきた職員に対して現場レベルで折衝をする
2.1でうまくまとまらず、職員が税務署にもって帰り税務署としての対応を検討する
3.2の結果を税務署長から納税者に通知される
4.3の課税処分に対して、もう一度再考してもらえるように税務署に異議申し立てを行う
5.4で却下されれば、次に国税不服審判所に訴える
6.5で却下されれば、裁判所に訴える(さらに地裁→高裁→最高裁の3審制)
ということで長い手順を踏むことになります。
 一般的に5までは国税庁との話し合いになります。ここまでなら弁護士等がいなくても訴えること自体はできますし、ここまでで大体結論が出ることになります
 しかし残念ながら納得できなければ6になります。

 6は税務訴訟と呼ばれますが、ここでの逆転劇は勝率が10%にも満たないものでさらに言えば全面的に納税者が勝利することは本当に少なく相当程度の確信があってもなかなか勝てません。本当に勝てません。
勝てるパターンとしては以下のようなものがあります。
(念のためですが、以下のパターンでも納税者が敗訴するほうが多いです)
1.税務署が明らかにおかしいものをそのまま放置していた
2.判断の影響が今後出ないといえる場合
3.裁判所の判事が現実離れした考えをしていた場合
4.時効の成立や重加算税か否かの判断等、税金そのものの判断ではないもの

例えば1の代表例としては生命保険の相続税、所得税の二重課税訴訟でしょう
生命保険の二重課税
 これは生命保険金という財産を譲り受けるときに相続税としていったん払ったのち、実際に生命保険金を受け取るときにも所得税を払うものです
 あまりなじみが無いかもしれませんが、二重課税というのは税金の考え方からして明らかにおかしいため排除するようになってます
二重課税

 しかしながら国税庁が公表している基本通達で二重に課税するように記載がされており、国税庁としても自らその過ちを認めるわけにもいかず争いになったと考えられます。
 基本通達というのはあくまで国税庁としての考えであり法律ではありません。
 しかし実際の税務業務は基本通達に縛られており、税務の法律ははまったく知らない(読まない)でも基本通達だけわかっていれば業務ができるレベルでもあります(逆に条文を理解しても通達を知らないと業務はできません)。
 その基本通達を安易に変えることは国税庁の面子にかけてもできないと考えられます。

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