税理士事務所への税務調査(+実態調査)

 事務所が新しくなったことで、業務の効率化・統合化でバタバタしていたのですがようやく落ち着いてきたかなぁ・・・と思ってちょっと自分のやりたいこと(仕事・プライベートともにですが)を考えたり行動できるかなぁ?と考えていました。

 と思ったら、去年の10月に入ってから税務署から調査の電話がまとめてきてしまい今シーズン(7月~翌年6月が、税務調査におけるひとつのシーズン)は税務調査の超当たり年になってしまいましたw。

 今年は無茶苦茶多いなぁ・・・・コロナが明けたから積極的に入っているのかなあ?と思っていたのですが、所得税の統括官から電話がありました。

 統括官は普段は「調査官を管理する」のが仕事なので、珍しいなぁと思いながら話をすると、「松本税理士事務所」の調査に入ります。ということで私の事務所に調査に来ることになりました。

 昭和の時代は税理士への調査はよほどのことがなければ入らないというのがあったみたいなのですが、令和の時代でもそれをやっていると税務署と税理士の癒着を疑われるということで、逆にX%(国税局で決めている割合で、一般の人の調査に入る確率より高いと思われる)調査に入ることで税理士を特別扱いしていないというアピール(?)をしているようです。

 実態調査編

 通常、税理士の税務調査に入るときは、税理士事務所の「実態調査」がまず行われます。  これは総務課など税務調査とは別の人が対応します。「税務調査」の担当者はその話を隣で聞いていて、要は二人体制です。

 業務調査は、税理士事務所が法律に従って運用されているかどうか?の調査で、

・名義貸し等行っていないこと

・税理士が直接申告を行っていること

・顧客からの報酬の受け取り方

・税理士が職員を適切に把握し、指導していること

 などなどいろいろあります。

 上記のような内容は基本的に問題ない(これに問題がある事務所はさすがにやばい)のですが、多くの税理士事務所で指摘されるのは業務処理簿を適切に作成しているのか?ということです。

 これはどういうものか?というと、税理士が行った毎日の仕事の内容までを下記のフォーマットに従って全部書くことを要求しています。

https://www.nichizeiren.or.jp/datalibrary/business/check_list/p20140916-01/

 ・・・・これをすべて書いている税理士っているのでしょうか?例えば、

・この経費は課税ですか?非課税ですか?

・○○という資産の耐用年数は?

という質問を逐一書くことも要求しています(いるように見えます)。

 私もちょっと判断に迷うことは文書で残していたりしますが、ちょっとしたことをいちいち書くのは非常に手間ですし意味を感じていません。

 とはいえ、法律上作成が義務付けられていますし、作ってないわけではないのですが、結局相談を受けたとしても、電子申告したときが相談内容が確定した日。ということで、それだけ書いていました。

 もちろんそうなると、調査官からすると記載内容が不十分です。という話になります。

 じゃぁどこまで書くのですか?というと、もちろん税務相談を受けたこと全部。ということになり、そこで日頃から疑問に思っていたことをぶつけました。

 「では、確定申告で税務署のお手伝いをしている分も全部書くんですか?」

(以下は税理士でない人には非常にわかりにくいところがありますがご了承ください)

 税理士は確定申告時期には、税務署の応援(外注)で確定申告のお手伝いをすることになっています。

 そこでは大量に来る申告相談を処理していますが、(税務署の指摘通り受けた税務相談を全部書くということであれば当然)相談事項をすべて業務処理簿に書く必要があるということになります。

 さて、この相談を全部書くとなると手伝いに行っている税理士の能率は間違いなく半分以下になるでしょう。(口頭での回答と文書に残すスピードは格段に違います)

 あっさりした回答で済むものは多いですが、なかなか税務的に難しい内容も当然含まれておりその内容を書くとなると本当に時間がかかりますし、住所氏名を記載するようになってますが、相談者が言わないこともあります。

 税務署のお手伝いでの報酬と、お客様からの報酬についてともに外注費ですし、申告相談という業務の明確な違いがない以上、業務処理簿に書くなら共に書くべきですし、書かないなら共に書かない。ということになるのではないですか?

 私は別に順法ストをやりたいわけではないですが、もしここで私の業務処理簿が不十分ということで指導をするのであれば、私は税理士会として本当にそれでいいのか?ということを税理士会に相談することになりますがいかがでしょうか?

https://kotobank.jp/word/%E9%A0%86%E6%B3%95%E9%97%98%E4%BA%89-291607

 それとこれは話が違う・・・という反論もあり得ますが、税務に関する内容のお手伝いは(税理士法的に)税理士しかできないのであれば、税務署のお手伝いをしている時だけは業務処理簿をしない根拠がないとは思いますので、書くべきという結論になるとは思います。

 最終的に調査官からは、そこまではしなくていいけど、現状では少なくともお客様の税務調査についての記載がないので少なくともそれは記載すべきと考えられ、作成が十分ではありません。と言われました。(確かにそれは納得です)

 追加で説明頂いた内容として、業務処理簿作成の趣旨としては、業務の管理に資する書類を作成することを求めているわけで、上記のショートカットで示した様式はあくまで税理士会が出している一例にすぎず、国税局としては自由な様式で作成してもらって結構です(ですので事務所で本当に役に立つ形で作ってほしい)ということでした。(これは非常に納得しました)

 

 まぁ、業務処理簿は問題点はあるもののなんとかクリアしたのですが、一番悩ましい突っ込みは、この短期間で売上(顧客数)が急増したという理由についてどのように回答するのか?ということでした。

 昔は品位に欠けるという点もあり引き抜き行為を問題にするというのもあったみたいですが、今の時代は仮に引き抜きであっても問題とはならない(はず)ですが、どういう経緯で増加したのか説明をしてほしいということでした。(念のため書いておきますが、弊事務所は引き抜き行為はしておりません。)

 まぁ、調査官からすると

・職員の前の事務所は知っている(税務署に毎年提出する職員名簿)

・最近増えたお客様の前の事務所も分かる(申告書の税務代理者)

・狭い業界なのでうわさで聞く(税務署の先輩後輩の絆って美しいですねw)

 等の事前情報を確実につかんでいて、それを税理士から確認する感じでした。 まぁ、売上の変化を考えるとどこに調査に行くべきか?と考えると、確かに今年は私の事務所に来るのが一番自然(w)だとは思います。

全体的には業務調査というのは、「現在の運営」についての調査であり、申告書のような「過去の運営」については質問されなかった意外?といえば意外でした。(過去のことを聞かれても、一人でやってたことであれば聞くことがなかったのかもしれませんがw)

税務調査編

 そして、次は税務調査の方ですが、基本的に統括以上の役職の人が来るでしょうがそれ以外は普通の税務調査です。

 医者の不養生という言葉がありますが・・・・(内容はお察しください)。

 税理士は自身が一円でも脱税(重加算税)すると、一発で業務停止命令になるのでそういう話ではなかったということは記載しておきますが、費用関係もなかなか厳しいなぁ。とも思いました。

 総じて言えば、ちょっと事務所が急拡大しすぎたので、その歪みが出てしまったところもありますが、現在は事務所の経理処理は優秀な事務員にしっかりやってもらっているので調査官にはご理解をして頂けたところもあると思いますw。

まとめ

 税務調査に来るとは・・・・私も偉くなったなぁw。と余裕が言える位であればよかったのですが、業務調査はホントによくわからず、知り合いも受けた人がおらず手探り状態でした。

現場での口頭注意

(税務署の)文書注意

(国税局の)文書注意

税理士法上の処分

などもあるのですが、とりあえず初犯(?)ということで口頭注意ということでよくはないでが、改善すべきところは改善していこうと思います。

 税務調査をやらずに業務調査だけという場合もある(というよりその方が多いらしい)ので、日頃から業務調査を受けてもいい状態にしておくことは必要だということです。税務調査は日頃の仕事でも予想はつくと思いますので「そんなに」心配する必要はないとは思います。

 ただ、(特に若手税理士は)業務調査について何をしたらよいのか?どのように受ければよいのか?がわからないと思いますが、ある程度準備をしておけば税務署の方も同じ業界の人ですし、そんなにひどいことにはならないと思いますので恐れず立ち向かってください。

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