節税に対するスタンス

 税理士なので節税についていろいろ聞かれます。
 基本的な技(例えばネット検索ですぐ出てくるし実行に手間がかからないもの)を使うことはいいと思います。
 また税理士ごとに対応が分かれるような微妙な事案であっても、裁判になることを覚悟の上で実行するのはありだと思います。(ソフトバンクなんかは会計でも税務でも法務でもギリギリのところを攻めてます。)

 しかし節税のために世の中の多くの人がやりがちなのは
・節税のために経済合理性のないことをする
・節税には頑張るが儲けようとしない
この辺についてちょっと書きたいです。

 法人税や所得税など利益について課税されるものについては経済合理性(=利益)を無視した節税もあるのですが、合理性を無視した節税策で多いのが相続税です。
 相続税対策の典型としては
・土地や建物を買う、改修する、
・別法人を利用して財産評価を下げる
・生命保険
・贈与をする
まぁこの辺はちょっと調べればわかることですのでここではあまり詳しく書きません。
(相続税 節税 とかで検索すればわかります。)

 とはいえ相続税対策というのは
・現金を別の資産に変えて評価を下げる
・現金を保険などで寝かせておく
というものであり、現金を有効的に使うという観点では悪い選択になりがちです。

 例を上げれば、現金1億円負債ゼロ円の人を考えた場合、基礎控除などを考慮すると相続税は1000万円ほどかかります。これを上に書いたような相続税対策を使ってゼロにするというのは良くある話です。(これであれば1億円まるまる残る)
 しかし、相続税対策を全くせず、運用などで現金を1.2億円にして相続税を1400万円払ったほうが残るお金は600万円多いということです。(これであれば1億600万円残る)
 もちろん「運用して確実に増やすことはできない」という声が聞こえますが、現金が土地や建物に変わった場合も投資した金額が回収できるのか?というとそれ以上に不確実だったりします。

 「税金が多い」というのは「利益が多い」「財産が多い」ということで本質的には喜ぶべきことです。財産を残すという目的に対して節税は手段の一つに過ぎません。そして日本人の欠点の一つに「手段が目的化しやすい」というのがあり、節税ばかり着目されるのは完全に手段が目的化してます。
 財産を残す王道は財産を増やすことで、節税はあくまで補完的な役割に過ぎない。このことを理解していただきたいです。

節税
 節税、脱税、過少申告、租税回避はこのように違います。専門的にはこのように分かれますが、世の中的には過少申告や租税回避も脱税という認識ですよね?。
 ニュースなどで○○会社国税局から追徴課税〇〇億円。などと取り上げられるものは租税回避か節税か?で争ったものがほとんどです。脱税と租税回避は全然違うものなのですが、脱税のように取り扱われるのは企業にとってたまったものではないですね。
 (公務員には守秘義務はないのか?といいたいですが一罰百戒をしたいのでしょう)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です