インドネシアに仕事で行ってきました。 今回は現地の日本人アテンダーと結構話すことができ、インドネシアでの(特に経済の)リアルを結構聞けました。
(理解はしているつもりだったのですが話を聞いて一番厳しいと思っていたのは)インドネシアでは25歳を過ぎたら何らかの技能がないともはや就職ができないということです。
理由としては、労働者は腐るほど余っていて同じ雇うなら若い方がいい。というだけです。
労働力が豊富すぎるがゆえに、買い手市場(企業側が有利)であり雇う側の論理が強くでるのはしょうがないのですが、現実問題として25歳までに自らの職業を確固たるものにしないと、まともな職(あえてこういう表現にしますが)がなくなるというのは結構残酷だなぁとはおもいました。(なお、女性であれば25歳までに養ってくれる人を探す)
それは労働者側も受け入れていますが、それゆえ各個人が学生の内から就職活動のために能力を高めることなどに必死になる・・・・ということにはならないというのも興味深いところでした。
具体的には、インドネシアにおける日系企業(例えば大手自動車製造業)の就職活動というのは企業が個人を採用するわけではないということです
日系企業は、手配士(人夫出し)に○○人集めてほしい、と声をかけて手配士が見繕って企業に送り出す形になります(日系企業は手配士にお金は払わない)
手配士は労働を希望する人からお金を徴収して(それが手配士の収入)、労働者に仕事を割り振るという形であり、労働者の視点から書くと大手企業の労働者になろうと思ったら最初に手配士にお金を渡すことが必須になるということです
ちなみに某大手輸送系機械器具製造業においては、人気があるためか年収の半分以上を手配士に払うそうです(しかも1年契約の契約社員としての雇用にすぎない・・・)
1年後に企業側から更新されなければそこで終わりなので、必死で働くことになります
よく問題になることとして、日本での海外からの技能実習生は日本に来るのに借金をしている。というのは、日本の文化的にはひどい話だとなりますが、東南アジア諸国ではむしろそれが当たり前ということです。
私も日本の文化で育ってはいるので東南アジアのやり方が正しいとは思いませんが、人を雇う側の企業としては東南アジア人を使う方がよほど使い勝手がいいのは間違いありません。
日本においては売り手市場で労働者側が下記の内容を企業に求めており、日本人を採用しようと思えば、こういったことに配慮をしないと採用自体が難しいです。
昔はインドネシアの就労環境と日本の就労環境は無関係ということが言えたのですが、最近技能実習制度から外国人労働者の受け入れという方向で法制度が変わろうとしています。
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2023/0629_05.html
これからは、今まで以上に東南アジア人が日本に来て働くことになります。今までは日本政府は日本人の就労環境を守ろうと奮闘していたのですが、その日本人が働きたい職場でしか働きません。と言っています
そうなれば昔で言う3K職場に今後は外国人が押し寄せることになります(3Kという言葉でまとめられがちですが、案外誰でもできる仕事ではなく結構専門的な職種もある)
また、自分の仕事は3Kではないから関係ないや。と思っている人もいるとは思いますが、3K職場だけ外国人労働者を解禁するのではなく、今後は労働市場全体で外国人就労者が解禁されることになるでしょう
そうなると
日本人
⇒自分がやりたい仕事以外はやらない
⇒(能力にかかわらず)給料は人並みもらいたい
⇒労基に完全準拠でハラスメントがある会社は一切受け付けません
外国人
⇒お金を払ってでも仕事にありつきたい
⇒給料は能力に応じて頂ければいい
⇒命令には従いハラスメントも我慢します
雇う側としては同じ位の能力であればどちらを雇うでしょうか?
インドネシアの経済状況は人口の伸び具合がまだまだすごいので経済も伸びていくというのは間違いなさそうですが、今後日本人が働ける場所はなくなっていくんだろうな。と思いました。
最後に書いておきますが、労働環境について私はインドネシアの考え方が素晴らしい。と思っているわけではなく、日本の方があるべき姿だとは思っています。
ただ、企業の立場で考えた場合どちらを優先して雇うのか?を考えると、日本人も相当覚悟をもって過ごさなければ、社会からおいていかれることになりますよ。ということが書きたかったので。。。あしからず
(ちなみにインドネシア人だけの話ではなく、インド人であればインドネシアの5倍以上のもいるので・・・・日本人は危機感をもって生きていかねばならないと簡単に置いて行かれそうです)